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コロナ禍での沖縄観光、沖縄県民はどう思っている?

国際通り

2020年から流行が始まった新型コロナの影響は、沖縄の主力産業・観光業にも大きな影を落としています。仕事が激減し収入の大幅減に苦しむ人がいる一方で、他県から持ち込まれる新型コロナの変異株と感染爆発に不安を抱える県民も多いです。そんな現在の沖縄観光を、沖縄県民はどう思っているのでしょうか?

そもそも沖縄の観光収入ってどれくらいあるの?

「新型コロナの影響によって沖縄への観光客数が激減した」と報道されていますが、新型コロナとの戦いも2年目になると、2020年とは違い観光客の姿も増えています。

とはいえ主要な観光施設やその周辺に目を向けると、シャッターを閉めたままの店舗が多く目立ちます。「観光業の街・沖縄」といわれていますが、コロナ流行以前の沖縄には、観光客がくることによってどれほどの観光収入があったのでしょうか?

本土復帰直後は約56万人が来沖

沖縄県では、本土復帰を果たした1972年(昭和47年)より「入域観光客数と観光収入の推移」について収集したデータを公開しています。

本土復帰前は、本土~沖縄島の往来にパスポートが必要でした。これが本土復帰によってパスポートなしでも往来が可能になったのが本土復帰による大きな変化です。

そのため気軽に往来ができるようになった沖縄への旅行は1972年以降増加し続け、沖縄へやってくる観光客数も右肩上がりです。

ちなみに本土でも本土復帰運動に参加した若者が多数いたこともあり、パスポートなしで往来ができるようになると、運動に参加していた多くの若者たちも沖縄旅行に参加しました。

その影響もあって本土復帰の年である1972年は56万人が来沖し、観光収入も324億円を記録しています。

過去にも観光客減少の原因となった出来事は多数ある

常に右肩上がりで増加してきた沖縄の入域観光客数ですが、過去にも何度か観光客数が減少に転じた年があります。

観光客数が初めて減少したのは海洋博覧会開催の翌年(昭和51年)ですが、これは海洋博覧会の際に国内外から観光客が急激に増加したことが関係しており、海洋博バブルが終了したことによって平常時に戻っただけでした。

その後は常に増加を続けていましたが、平成13年の9・11テロ事件によって初めて大きく減少に転じます。ただしその翌年には増加傾向になり、観光収入も増えていきます。

平成21年の新型インフルエンザ流行や平成23年の東日本大震災にも、観光客数と観光収入が一時的に減少します。

ただしその後円安によって旅行重要が増加に転じると、海外からの観光客数が爆発的に増加し、それと共に沖縄の観光収入も大きく増加していきます。ちなみに新型コロナ流行の前年にあたる令和元年(2019年)には、沖縄を訪れる観光客数が946万人で、観光収入は7047億円に達しました。

新型コロナ流行の2020年はどうだったのか?

常に右肩上がりで上昇を続けてきた沖縄の観光業なので、新型コロナ流行によって観光客数が激減する前は、「入域観光者数1200万人、観光収入1兆1100億円」を2021年の目標として沖縄県は発表していました。その背景にある外国人観光客(特にアジア圏)の急激な増加は「沖縄観光バブル」とも言われ、高額な家賃を支払っても人気の観光地域に出店する事業所が後を絶ちませんでした。

さらに国内観光客の平均滞在日数が4日なのに対し、外国人観光客の場合は5日~1週間と長期化するので、宿泊業および関連企業も大幅に収入がアップします。

しかも日本人観光客の場合、1人あたりの平均消費額は9万弱ですが、中国人観光客による爆買いでは100万円単位で消費するケースも珍しくありません。そのため中国人観光客に人気の商品を取り扱う店舗は、土産物品店とは関係なく売り上げを急激に伸ばしていました。

それが新型ウイルス流行によって入域観光客数が激減したことで、観光収入も急激に減少します。新型コロナ流行から2年目となった2021年は前年よりも観光客数が増えたため、観光業界では繁忙期となるGWに観光者数・観光収入の回復を期待していました。

ところが実際には入域観光客数が新型コロナ流行以前の6割減となり、観光収入も期待していた数値よりも大幅に下回ります。さらに沖縄への修学旅行の取り消しも前年同様継続傾向にあるため、修学旅行関連業界は軒並み需要の低迷が続いています。

沖縄県民は新型コロナ渦での沖縄観光をどう思っているのか?

一般論としては

沖縄の観光業に直接関係しない沖縄県民には、沖縄にやってくる観光客にあまり良い印象を持っていません。

特に新型コロナの変異株が問題となって以降、高齢者や基礎疾患のある沖縄県民にとっては、観光客が増加することに不安を感じる人も多いです。高齢者と同居する家族は、感染防止のために外出しないよう高齢者に促すケースが増えています。

とはいえ観光客が多い地域と少ない地域では危機感にも温度差があるようで、観光客との接点がほとんどない地域にとっては、沖縄観光に不満を持つ人よりも、身近な暮らしに不満や不安を抱える県民の方が多いです。このように沖縄県民の沖縄観光に対する考え方は、地域によって違うのが実情といえるでしょう。

観光に携わる業界としては

新型コロナ流行前は観光収入1兆円越えを目標にしていた沖縄観光ですから、急激な観光客数の減少は大きな痛手です。特に年間通して来沖していたアジア系外国人観光客と修学旅行客の激減は、沖縄の観光業だけでなく関連産業にも深刻な影響があります。

さらに2次的な被害を受けているのが、精肉店や青果店です。新型コロナ感染予防のために清明や旧盆行事が縮小されているため、沖縄の年中行事に欠かせない豚肉や供物用の果物を専門に扱う青果店も売り上げ減少に頭を抱えています。

特に公設市場に店舗を構える精肉店では「新型コロナが怖くて買いに行けない」と口にする高齢の馴染み客が多く、「地元客が減る現状では、生活のためには観光客が増えてくれないと困る」というのが本音のようです。

自粛が続く中、観光地周辺にある飲食店も「観光客が戻ってきてくれないと困る」という声が多く聞かれます。特に2021年5月に発令された2度目の緊急事態宣言で飲食店におけるアルコールの提供自粛が要請されると、「観光客も地元客も見込めなくなった」と肩を落とす飲食店経営者も多いです。

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