沖縄本島最高の聖域・斎場御嶽の近くに、太陽神が降臨したといわれる「テダ御川」があります。琉球最高の聖地である久高島を眺めることもできるその場所は、静かな時間が流れる聖なる地でした。
聖なる場所に続く道
テダ御川の「テダ」とは、沖縄の方言で「太陽」を意味します。かつて沖縄が「琉球」と呼ばれていた時代、国の最高権力者である国王は琉球の最高神である「太陽神」であるといわれていました。
そんな琉球国王は、一年に一度国の安泰を願うために聖地・久高島へ渡りました。久高島は沖縄本島から肉眼でも確認することが出来る場所にあり、今では高速船に乗れば沖縄本島からわずか15分で渡ることが出来ます。
でも琉球王朝時代にそんな便利で安全な乗り物はありません。だから久高島はすぐ目の前に見える島であっても、その都度航海の安全を祈願しなければ無事にわたることが出来ない場所だったのです。
そしてテダ御川は琉球の国王が久高島へ渡る際に必ず訪れ、航海の安全を祈願する聖なる場所だったのです。
だからなのか聖なる場所へと続く道は、海の間近にありながらも静かで厳かな雰囲気が漂っています。
聖なる場所はまさに「神の領域」だった
風の音だけが静かに聞こえる一本道を歩き進めると、目の前に大きな岩が立ちふさがっています。この先にあるのが、太陽神が降り立ったといわれる聖なる場所・テダ御川。
その目の前に立ちふさがるようにある大きな岩は、まるで人の侵入を拒んでいるかのようです。そして「ここからは神様の領域」ということを無言で私たちに示しているようです。
気持ちを落ち着かせ岩の裏側にまわると、ようやく聖なる場所・テダ御川にたどり着きます。
琉球の国王がこの場所を訪れていた頃には、この場所からは海岸から泉が湧き出ていたといいます。湧水は琉球の人々にとって聖なるものであり、聖なる力が宿っていると考えられています。そのため琉球の国王は久高島へ渡る際に必ずこの場所を訪れ、神の加護を受けてから渡ったのでしょう。
残念ながら現在泉は枯れているので、この場所で聖なる水に触れることはできません。そのかわりテダ御川の周辺はきれいに整備されました。そのおかげで今では誰でも安全にこの場所を訪れることが出来るようになっています。でもその昔は、この場所を訪れることですら大変なことでした。
こうして少し高い場所からその場所を眺めていると、その意味がよくわかるでしょう。
人の侵入を拒むようにして建てられているテダ御川の碑の先には、穏やかながらも厳しさを感じる神秘の海が広がります。
テダ御嶽を一望できる場所へ
テダ御嶽のすぐ横には、小高い山があります。そしてその頂へと続く長い階段があります。実はこの階段を上った先にあるのが、知念灯台。
琉球の太陽神をまるで山の上から守るようにして建てられた灯台には、琉球の守り神であるシーサーがたたずんでいます。そしてこの場所から見ることが出来る景色こそが、テダ御川が聖なる場所であることを実感できる景色。
青い海と空の境目にある水平線の向こうに、琉球の人々が信じる神の国『ニライカナイ』があるのです。
太陽神が降臨した聖なる地に行くには…
太陽神が降臨したといわれるテダ御川は、神という存在がこの世に確かにあるのだということを感じさせる神秘的な雰囲気があります。今も多くの人がこの地を訪れ、神への祈りの時間を過ごします。
- 住所:〒901-1513 沖縄県南城市知念知名1172
- 見学時間:自由見学
- 駐車場:あり(無料)
注意点:この場所は今でも沖縄の人々にとって聖なる場所であり大切な拝所です。訪れる際にはルールを守るようにしてください。