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戦前の那覇市のメインストリートは国際通りではなかった

現在の那覇市のメインストリートは国際通りですが、大正から昭和初期の那覇市のメインストリートは現在の東町付近にあった大門前通りでした。市役所や郵便局、デパートなどが並んだ戦前のメインストリートを紹介します。

大門前通りとは

大門前通り

大門前(うふじょーめー)通りは、現在の那覇市東町付近にあった戦前の那覇のメインストリートでした。県内初のコンクリート建造物と沖縄独特の赤瓦屋根の建物が混在する場所で、現在のメインストリートである国際通りのような繁華街ではなくモダンで情緒あふれる通りだったといいます。

昔の沖縄

ただメインストリートから路地を入った裏通りは、昔ながらの下町の雰囲気が残っていたようです。通りを歩く子供たちは着物姿ですし、行商に向かう女性は頭の上に荷物を載せて移動する沖縄独特のスタイルで歩いています。

昔の沖縄

徒歩で移動する人もいれば、自転車に乗っている人もいます。また当時はまだ高級品だった車も通りを走っていますが、その傍らには人力舎の姿もあります。この風景を見てみると、戦前の沖縄のメインストリートは、日本の大正ロマンを彷彿させるモダンな街並みだったことが分かります。

戦前の那覇市のシンボル【那覇市役所】

昔の那覇市役所

1919年に竣工された那覇市役所は、県内初の鉄筋コンクリート建物でした。中央に作られた塔の高さは23メートルもあり、当時の那覇市内で最も高い建物でした。

昔の那覇市役所

もちろん大門前通りの象徴的な建物でもありましたが、当時の那覇のシンボル的な建物でもありました。現在の那覇市役所は国際通りの先にありますが、県庁や商業ビル、オフィスビルなどが集中する場所にあるので、戦前の市役所のような街のシンボルではなくなっています。

今でも名前だけは県民の記憶に残っている【山形屋】

山形屋

40代以下の沖縄県民に対して「沖縄の古いデパートと言えば?」と質問をすると「沖縄三越」の名前が挙がります。ところが同じ質問を50代以上の県民にすると「山形屋」という名前が出てきます。実はここで名前が挙がる山形屋は、沖縄県で初めてできたデパートでした。

ただし鹿児島のデパートの沖縄支店だったので、正しくは「山形屋 沖縄支店」でした。大門前通りの店舗は新築移転したもので、最初に山形屋が店を出したのは那覇市西本町でした。大門前通りに新築移転してからの山形屋で特に人気があったのは、2階の喫茶室でした。今はすでに亡くなってしまいましたが、当時の山形屋に行ったことがある地元のオジイが「山形屋の喫茶店に行くのは当時の憧れだったよ」と話していたのを思い出します。

ちなみに山形屋はその後、国際通りに移転しました。戦後生まれの人にとっては国際通りに出来た山形屋しか記憶にありませんが、昭和初期生まれの中には大門前通りの山形屋の記憶を語る人もいます。なお国際通りにあった山形屋の跡地には、現在「ホテルJALシティ那覇」が建っています。

路面電車が街を走る光景があった

沖縄の路面電車

今でこそ路面電車が存在しない沖縄ですが、戦前の沖縄には路面電車が存在していました。もっとも有名なものは、地元で「ケイビン」の愛称で親しまれていた軽便鉄道ですが、大門前通りにも路面電車が走り人々の足として利用されていました。

ところが戦前の沖縄には存在していた路面電車が、地上戦を経験したあとに復活することはありませんでした。戦後の沖縄はアメリカ軍の統治下におかれ、軍の基地及び移動に必要な道路の建設が最優先されてしまったためです。さらに都市開発によって路面電車の駅の跡も、現在はほとんど残されていません。

ただし軽便鉄道に関する資料館は、県内で唯一与那原町にあります。「与那原町立 軽便与那原駅舎展示資料館」なのですが、戦争によって破壊された元・与那原駅舎を復元し資料館としているため、県外からの見学者が多い穴場のスポットになっています。

那原町立 軽便与那原駅舎展示資料館

小さな資料館ですが、沖縄の鉄道を専門に扱う唯一の資料館です。わかりにくい場所にあるため、地元に住んでいても道に迷います。なお与那原町役場が、資料館の近くで唯一目立つ建物になります。道順に不安を感じる場合は、与那原町役場周辺から直接資料館に電話で確認をすることをおすすめします。

  • 住所:沖縄県島尻郡与那原町字与那原3148番地の1
  • 電話:098-85-8888
  • 入館料:中学生以上 100円 / 小学生以下 無料
  • 開館時間:10:00~18:00
  • 休館日:火曜日、12月29日~1月3日

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すいか親方
国際通りのど真ん中に住んでいるため、ウチナンチュを見かけるよりも、観光客や修学旅行生と出会うことの方がはるかに多い毎日を過ごしている「すいか親方」です。
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