南城市玉城の仲村渠集落にある、昔の共同浴場・仲村渠樋川。すぐ近くにある垣花樋川があるので、湧水巡りを兼ねて、ちょっと立ち寄ることに…。立ち寄ってみたら、意外と素敵な場所でした!
イキガガー?イナグガ-?
仲村渠樋川には、車一台が停められる程度の広場があります。どうやらここが、仲村渠樋川の正面入り口らしい…。広場にあった地図をもとに、共同浴場を探してみるぞ!
イキガガ-は男の川だった
イキガガ-は、広場の目の前にある湧水場でした。水の勢いがそれほどないのでちょっと残念な気がしましたが、日中なのに、適度な木陰でとても涼しく過ごせます。
ちなみに、イキガガ-には、芋洗い場があります。農作業を終えた後、ここで芋や野菜を洗っていたのでしょうか?
イナグガー(女の川)は、女性への配慮を感じる作りだった
イキガガ-の横に、何やら壁で仕切られた場所があるので、ちょっとのぞいてみます。すると、そこが、女の川という意味の「イナグガー」でした。
そういえば、仲村渠樋川のすぐ近くにある垣花樋川も、男女別々に樋川を分けており、男性の泉は「イキガヌガー」、女性の泉は「イナグヌガー」といいます。垣花樋川のイナグヌガーも、イキガヌガーよりも上の方に設置されていて、沐浴した時にイキガヌガーから見えないようにという配慮がありました。
これを踏まえて仲村渠樋川のイナグガ-を見てみると、「垣花樋川より女性に対する配慮がされているなぁ」と…。だって、入口以外は高い壁で囲まれていますから、周りから見られる心配もありません。きっと昔の女性は、この場所で疲れた体を癒すためにゆっくりと沐浴や水浴びを楽しんでいたのでしょうね。
仲村渠樋川の共同風呂発見!
イナグガ-の横に、もう一つ屋根のある場所があります。どうやらここが、仲村渠樋川の共同風呂のようです。
さすがに、こちらのわかりやすい五右衛門風呂は、新しく作られたものなのでしょうが、これがあるだけで、この場所が共同浴場であったことがわかります。
たぶん、本来の共同風呂は、五右衛門風呂の後ろ側にあるこちらのスペースなんだろうな。
しかも、風呂場のすぐわきから湧水が出ているので、風呂上りに顔を洗ったりするのに便利です。沖縄の昔の共同風呂って、結構風情があっていいな♪
風呂から上がってきた後は、昔の人もこの大きなガジュマルの下に集まって、風にあたりながら世間話で盛り上がっていたのでしょう。静かな広場には、水が流れる音と風で木の葉っぱがこすれる音だけが流れています。
集落の上の方につながる「カービラ」と呼ばれる石畳は、首里の石畳を思わせるような風情のある景色が見られます。