沖縄への移住を決断するなら、老後の暮らし方についてもある程度意識しておきたいもの。ただし、沖縄は多くの離島を抱えているだけに、地域によって介護施設や施設サービスの状況はそれぞれ異なります。
「離島だから高齢者が多い」は間違い
沖縄県には、28の有人離島が存在し、そこには沖縄県の総人口の約1割の人々が暮らしています。でも、離島といっても、それぞれの島の事情は異なっており、人口4万人を超える石垣島から、総人口10名以下の新城島までさまざまです。そのため、「離島」といっても、石垣島のような都市型の離島も存在しており、ここでは、子供の人口の方が高齢者を上回っている地域もあります。
介護の現場でみられる社会的入院は減り続けている
これまで、介護の現場は病院など医療機関が中心になってきました。ところが、年間の総医療費が30兆円以上となっている今の日本では、今後も増え続ける高齢者医療費の削減が必須となっています。そのこともあって、全国的に医療の現場を自宅へシフトする動きが高まっています。
これまでは、自宅に介護者がいない場合に病院へ入院させる「社会的入院」が行われてきましたが、この受け入れに対しても年々基準が厳しくなっています。
でも、医療費に大きく影響する入院日数ですが、世界の主要都市と比較してみると、日本の入院日数は長期傾向にあることがわかります。たとえば盲腸による入院の場合、日本は平均7日間であるのに対して、ニューヨークやロサンゼルスでは1日、北京やホーチミンでも4日となっています。
在院日数が長期化すれば、それだけ医療費の負担は増えるため、一般的な病気の治療目的の入院も、できるだけ短縮化する傾向にあります。こうした社会の変化もあり、介護現場における社会的入院の受け入れは、今後ますます厳しくなることが予測されます。
老人保健施設は終の棲家ではない
高齢者の介護施設といっても、様々な形態があります。そこで間違えてはいけないのが、老人保険施設です。
老人保健施設というのは、介護保険が適用される介護サービス提供施設です。この施設の目的は、「在宅復帰」が目的となっています。デイサービスやショートステイなどがあるため、比較的利用しやすい介護サービスなのですが、目的が「在宅での生活支援」にありますから、立場としては、介護老人福祉施設と病院などのような医療療養病床との中間的役割を持つ施設となっています。
そのため、老人保健施設に入所したとしても、在宅での介護に耐えうるだけの身体的な機能の回復が見られれば、退所させられてしまいます。
沖縄で終の棲家を考えるなら高齢者住宅がベスト
自分らしい高齢期を沖縄で送りたいと考えているのであれば、医療と介護が連携しているサービス付き高齢者向け住宅を選択するのがおすすめです。サービス付き高齢者向け住宅は、変化が激しい介護業界の中で、今後ますますニーズが高まるといわれている注目のスタイルです。
そもそも、サービス付き高齢者向け住宅というのは、国土交通省と厚生労働省が所管する高齢者のための住宅です。この住宅では、「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」が定める条件を満たしていることが条件となっています。
条件の中には、バリアフリー構造であることはもちろん含まれていますが、それ以外にも、「部屋の床面積が原則25㎡以上であること」「部屋にキッチン・浴室・トイレ・洗面設備・収納設備があること」などが挙げられています。これらの条件をチェックしてみると、老人施設のイメージとは異なり、自立した自由な時間が確保されることがわかります。
介護付き有料老人ホームとの違いは?
介護付き有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅では、契約形態やサービス提供の方法に違いがあります。
介護付き有料老人ホームの場合、契約する時は利用権方式となることが一般的です。これに対してサービス付き高齢者向け住宅の場合は、賃貸借契約となっています。サービスの提供方法についても、介護付き有料老人ホームの場合は介護スタッフが24時間対応しているのに対して、サービス付き高齢者向け住宅では、利用者が必要なサービスを個別に選ぶことが出来るようになっています。
要介護度が進行した時の対応を事前にチェック
サービス付き高齢者向け住宅は、医療や介護のサポートを受けながら、自立した生活を送ることが出来る住宅という点に大きなメリットがあります。ですが、基本的には賃貸住宅と同じ扱いですから、他の入居者に迷惑をかけるような行動や症状がみられるようになった場合は、退所または有料老人ホームへの転院をすすめられることもあります。
これらの対応については、それぞれの物件によっても異なります。安心できる終の棲家を見つけるためには、こうした状況に陥った場合の対応についても、契約前にきちんと確認しておくことが必要です。
沖縄県のホームページでも物件を探すことはできる
沖縄県でも、サービス付き高齢者向け住宅への入居に関するサポート事業があります。その一つが、県のホームページを使った物件検索サービスです。
この検索サービスでは、希望する条件を細かく絞り込むこともでき、家賃やエリアだけでなく、提供されるサービスの内容や運営する事業所の情報提供なども調べることが出来ます。
県の補助もある高齢者向け優良賃貸住宅
沖縄県には、サービス付き高齢者向け住宅のほかにも、「高齢者向け優良賃貸住宅」という形態の賃貸住宅もあります。これは、「高優賃(こうゆうちん)」と呼ばれる賃貸住宅のことで、収入に応じて、県から家賃対策補助を受けることもできます。
高齢者向け優良賃貸住宅も、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づいた運営が義務付けられているため、バリアフリー構造や緊急時における通報措置の設置など、高齢者が自立して生活していくためのサポートはしっかりと整っています。
県内における高齢者向け湯量賃貸住宅の情報は、沖縄県のホームページから検索することが出来ます。