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沖縄はなぜ心療内科が多い?

沖縄に移住してちょっとびっくりするのが「心療内科の多さ」です。豊かな自然とゆったりとした時間が流れているイメージが強い沖縄で「心の病」に悩む人が多いのは、一体どんな理由があるのでしょうか?

悲惨な戦争の記憶が心の病の原因になっている

戦争

沖縄の歴史を語る上で「沖縄戦」を避けて通ることはできません。地上戦を経験した沖縄は、壊滅的な被害を受けました。それは沖縄の景色だけでなく沖縄の人々の心も大きく傷つけました。

平和な時代となった今の沖縄に暮らしていると、毎日の暮らしの中でそのことを思い出す機会は少なくなりました。でもそれはあくまでも「戦争経験者の数が減った」というだけです。だから沖縄戦を体験した人の中ではその当時の記憶は何一つ変わらず、今もその記憶と共に生きています。

もちろん戦争の記憶について積極的に語る人もいます。その行動の原点には「2度と悲惨な戦争を繰り返してほしくない」という強い願いが込められています。ただその反面、「戦争の記憶を思い出したくない」という人もいます。そして私が接してきた戦争体験世代では、圧倒的に後者が多いです。

その理由は「その時の記憶を口に出すということそのものが苦しい」といいます。

さらに記憶として頭の中に浮かぶだけでなく、その時体験した五感の記憶も戻ってきます。臭い・手の感触・音・映像などがまるで今目の前で体験しているかのようにリアルに蘇ります。これは相当苦しいです。

ただこうした心の傷に対処する医療施設が認知されるようになったのは最近のことです。しかも「心の病」というものに前向きにとらえる風潮になってきたのもつい最近のことです。だから心に傷を負っていたとしても、そのことを誰かに相談することもできずにいた人の方が圧倒的に多かったのです。

今は心の病についても積極的に治療することで克服できると考える人が増えてきました。また心の病が精神だけでなく身体にも様々な症状を引き起こすことが分かってきています。そのこともあって沖縄では、これまで封印してきた戦争の記憶に苦しんできた人が心療内科を訪れるケースが他県と比べて多い気がします。

沖縄移住が原因でうつ病を発症する人も多い

海

「沖縄は南国の楽園」と思って移住する人が多いですが、実際に住んでみると楽園とは程遠い現実も数多くあることを知ります。

もちろん沖縄に移住するからには「本土とは違う文化を持っている」ということは覚悟しているはずです。でも文化や習慣だけが本土と違うというわけではありません。考え方の違いも大きいです。

さらに「過去の移住者の負の遺産」の存在もあまり知られていません。そしてそれは新たな移住者にとって必ずしも良い影響を与えるものではないのです。

「過去の移住者の負の遺産」とあえて表現したのは、すでにその遺産を作った人は沖縄を去っているからです。つまり「移住失敗者」です。移住を諦め去って行った過去の移住者の負の遺産は様々なところにあります。

例えば職場では「周りとのコミュニケーションをとろうとせず職場の雰囲気が悪くなった」「何かにつけて“本土では…”とやり方を批判する」「採用しても長続きしない」などがその一例です。こうした過去の遺産があると、その後に入ってきた移住者社員に対しても過去の移住者社員のイメージが先行してしまいます。結果として新たな移住者は「働き心地が悪い」と感じます。

地域においても同じです。横社会といわれる沖縄では、今でも地域ぐるみの付き合いを重視する地域がたくさんあります。ただここでも職場と同じように過去の移住者の負の遺産が新たに移住してきた人に影響します。そうなると新たな移住者としては、過去の移住者以上に地域の人と交流するために努力が必要になります。

ただこの努力が上手く形となればよいのですが、時にはどんなに頑張っても努力が実を結ばないこともあります。「一生懸命頑張っていても報われない状況」が長く続けば、当然ストレスが重なります。ストレスが上手く発散できれば良いですが、移住したばかりではその方法がうまく見つからないこともあります。結果として心の病にかかってしまいます。

ストレスが原因で心の病にかかってしまったときには、ストレスの原因を解消することが病気を克服する一番の方法といわれています。つまり「移住が原因でストレスをためる→ストレスから心の病を発症→病気を治すためにストレスの原因を解消→移住を諦める」となっていきす。

ただ多くの人が大きな決断と覚悟をもって沖縄移住をしてきます。ですから心の病になったからと言ってすぐに沖縄を離れるということはできません。ガマンにガマンを重ねた結果として「沖縄を離れる」という最終決断をします。それまでは何とか移住を続けるために努力をします。その結果が心療内科が多い理由の一つなのかもしれません。

沖縄は思っている以上にストレスが多いのかも…

沖縄は「ゆったりとしたストレスフリーの社会」というイメージが強いですが、実際にはほかの地域と同じように「ストレス社会」です。

かつての沖縄では心療内科やカウンセラーの代理として「ユタ」が存在していました。ユタは「スピリチュアルな世界に通じる人」というイメージが強いですが、心の病を扱う専門医がいなかった時代には「心のお医者さん」「カウンセラー」としての役割も持っていました。

今は「心の病は誰にでも起こりうる病気」という認識が定着してきました。そのことによって心の病を扱う心療内科も増え、積極的に医療機関を受診して治療に向き合う人も増えました。

また、沖縄県はDVの相談件数も多いと言われています。こうした様々なことが複雑に絡まりあったことが「沖縄は心療内科が多い」といわれるようになった原因にあるのだと思います。

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ゆいまーる
沖縄で生活を始めて十数年・・・。これまでの経験を活かして沖縄の情報をいろいろとまとめたいと思います♪
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