新型コロナの影響で2度にわたって一斉休校を経験した沖縄では、図らずも一斉休校を機に本格的なオンライン授業が始まりました。全国的にも注目されている学校教育におけるオンライン授業ですが、沖縄県内の実情はどうなのでしょうか?
沖縄はオンライン授業ができる体制にある?
沖縄県内で一斉休校によって注目されるようになったオンライン授業ですが、新型コロナの影響によってオンライン授業が進められるようになったわけではありません。
国の教育政策としてオンライン授業の導入が発表されたのは新型コロナ以前のことです。「生徒1人に対して端末1台」という目標は早くから報道されていましたが、実際の現場ではその目標が実現したのは新型コロナによる一斉休校がきっかけでした。
学校によって対応が違う
オンライン授業を受けるにはインターネットに接続できる端末が必要なので、目標としては「1生徒1パソコン」ですが実情としては学校によって対応が異なるようです。
筆者の娘も公立小学校に通っていた時期に一斉休校によるオンライン授業を経験しましたが、娘の小学校では学校授業で使用していたタブレットを配布していました。
ただし学校の授業でタブレットの自宅持ち帰りを禁止している学校もあり、県内の学校が一律でオンライン授業が開始したという印象はありません。
一斉休校時に行われた沖縄のオンライン授業は?
ここからは筆者の娘が受けた沖縄県内のオンライン授業体験談をもとに、一斉休校時のオンライン授業の様子をご紹介します。
まず一斉休校期間中のオンライン授業は、学校から配布されたタブレットまたは自宅PCから指定されたツールを使って行われました。
オンライン授業には生配信型授業と録画型授業があります。「オンライン授業=生配信型授業」のイメージが強いですが、実際には生配信型授業よりも録画授業の方が割合としては多かったです。
録画型授業では「1日に終わらせるべき課題(プリント学習に近い)が終わるとその日のオンライン授業は終了」という流れでした。
分散登校時のオンライン授業
一斉休校が解除された後もしばらくは分散登校が続きましたが、分散登校時のオンライン授業は生配信型授業が主流でした。
筆者の娘が通った小学校では1日おきに学校での対面授業と自宅でのオンライン授業となりましたが、この時のオンライン授業はリアルタイム式授業だったので対面授業を受けている生徒と同じように授業を受けていました。
ただし学校での対面授業には体育や音楽などもあるので、それらの授業の間オンライン授業を受けている生徒は休憩または授業終了でした。そのためその日の授業内容によっては、始業時間からわずか1時間でオンライン授業が終わったことも多かったです。(あくまでも筆者娘の体験談なので、他の学校および中・高校での対応は学校によって異なると思われます)
行動制限解除後のオンライン授業は?
新型コロナによる行動制限が解除されて以降、自宅で受けられるオンライン授業は皆無といえます。
行動制限解除後も新型コロナ感染や濃厚接触者として自宅療養となった子供たちは依然として多いのですが、自宅療養中は基本的に学校での授業が受けられません。
筆者の娘は2度目の一斉休校体験後小学校を卒業したので、現在は県内公立中学校に在籍しています。そのため一斉休校時の環境と現在の環境を比較することはできないのですが、娘の中学校では新型コロナ陽性が確認された場合でも現状ではオンライン授業を利用することはできないようです。
沖縄の学校こそオンライン授業の推進を
くしくも新型コロナの影響で学校教育におけるリアルタイム式のオンライン授業が始まりましたが、通常登校が始まって以降自宅におけるオンライン授業はほぼ行われていないのが実情といえます。
学校内におけるオンライン授業(録画型授業)は学校単位で進められているようですが、自宅でのオンライン授業は皆無です。もちろん自宅でのオンライン授業を継続して行うためには、ハード面以外にもまだまだ解決しなければいけない問題が山積しています。
とはいえ新型コロナによって子供たちの学びの保証に対する関心が高まっている今だからこそ、オンライン授業を推し進めていく必要があります。
国の「ギガスクール(GIGAスクール)構想」を実現するためには県内一律で1人1台の端末配布(自宅への持ち帰りが必須)が欠かせませんし、データ通信料が家計の負担となりオンライン授業が受けられない世帯への経済的サポートも必要です。
それと同時に子供に対して安全な使い方を学ぶ授業を、学校の対面授業で積極的に行っていくことも必要になるでしょう。
越えなければならないハードルは高いですが、沖縄県における子供の学力低下を危惧するのであれば、今こそ積極的にオンライン授業を取り入れ多様な学びの場を与えることが必要なのかもしれません。
※本記事は筆者の体験談をもとに、沖縄県内の学校オンライン授業の実情をレポートしました。そのため沖縄県内におけるすべての小・中・高校の実情とは異なる部分もありますことをご了承ください。