沖縄県民は行事やお祭りを楽しみにしている方が多いように感じます。県によって様々な行事食がありますが、沖縄の行事食は独特だと思うのでご紹介したいと思います。
お正月には「ナントゥ」
ナントゥとは年頭の意味で、お正月に食べられるお餅です。沖縄にもともとあるお餅は、ついたお餅ではなく、もち粉をこねたお餅なのでお団子に近い感じです。
今では切り餅も人気でスーパーなどで手軽に入手できます。ナントゥは見た目も他にないビジュアルですね。
ナントゥの色は茶色なのですが、この色は赤味噌の色で、ショウガやゴマも練り込まれていて、ピーナッツもトッピングされています。ちょっとピリッとするような独特の風味があります。
ユッカヌヒーには「ぽーぽー」
ユッカヌヒーとは「4日の日」の意味で、「よっかのひ」がユッカヌヒーと変化したものです。
旧暦の5月4日は、ハーリーと呼ばれる海のお祭りが沖縄各地で開催されます。また、この日は子供におもちゃを買い与える日でもあります。
そして、ぽーぽー(ちんびん)を食べる風習があります。ぽーぽーに似たようなお菓子にちんぴんがあります。
ぽーぽーとちんびんの違いとは
実は沖縄県民でもぽーぽーとちんびんの違いを分かっている方は少ないです。ぽーぽーとちんびんは形は全く同じですが、色と味に違いがあります。
ぽーぽーは油味噌やソースを薄く塗ってくるくる巻いた沖縄料理で生地の色は白。
一方、ちんびんは小麦粉と黒糖を溶かした液を混ぜあわせ焼きあげるので生地の色は茶色。黒糖風味なのでお菓子に近い食べ物です。
ぽーぽーとちんびんはごちゃ混ぜになっていて、沖縄県民でも区別がつかないくらいで、上記の写真のようにちんびんを【ぽーぽー(ちんびん)】という名称で販売している店舗もあります。
十五夜には「ふちゃぎ」
中秋の名月のお月見の時には、お月見団子をお供えして食べますね。沖縄ではお月見団子ではなく、ふちゃぎを食べます。
こちらもビジュアルが独特ですよね。俵型のお餅に小豆がびっしりとまぶしてあります。他にはない姿のお餅ですが、食べてみてさらに驚くのが、甘くないことです!
昔、小豆には霊力が備わっていると考えられていたので、丸いまま食べることでその霊力にあやかることが出来ると考えられていました。
そのため、甘く煮なかったのかもしれませんが、甘くない小豆って固定観念がひっくり返されるほどの衝撃でした。
ちなみに、甘くないので子供には不人気らしく、オバア世代は購入してもママ世代は購入しないとか。そのため、沖縄では食べたことのない子供も多くいます。
旧12月8日には「ムーチー」
ムーチーとはお餅のことですが、沖縄でムーチーと言うとこのお餅や行事のことを指すことが多いです。
旧暦の12月8日には、お餅を使って鬼を退治したという民話に習ってムーチーを食べる風習があります。
月桃の葉のさわやかな匂いに包まれた素朴なお餅で、どこか懐かしい感じがします。
冬至には「トゥンジージューシー」
トゥンジーは冬至、ジューシーの語源は雑炊ですが、今は炊き込みご飯のことです。本土の炊き込みご飯と違うのは豚肉を使って、優しい味に仕上げることです。沖縄そば屋でセットになっていることが多いです。
沖縄のスーパーで販売されているジューシーのもとを使えば家庭でも簡単に作れますし、冬至には出来上がったものがスーパーにたくさん並びます。
冬至は昼間の時間が一番短い日です。太陽を一番の神としていた沖縄ではこの日で太陽が生まれ変わる大切な日であると考えられていました。
そのため、貴重なお米をお供えして健康祈願、子孫繁栄を願います。
お供えを頂くことでご加護があるとされていました。ですが、お米は本当に貴重だったのでかさ増しするために、お米に水を加えて雑炊にしました。
それがだんだんと炊き込みご飯に変化していきました。
つまりは、沖縄独特の考え方で冬至を迎えていたのですね。本土では冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかないと言われていますが、沖縄ではスーパーにひっそりあるくらいです。
その他にも冬至にはお風呂にゆずを入れる風習なども本土でありますが、沖縄で冬至にゆず湯は聞いたことがありません。
沖縄は独自の文化が多くあります。季節行事を大切にすると生活にメリハリがついて、生活が潤います。郷に入れば郷に従えで、是非沖縄の行事も大切にしてくださいね。