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手彫り石獅子の「スタジオde-jin」へ行ってきました

スタジオde-jin

街歩きをしていたところ、”スタジオde-jin”と書かれたのれんが掛かっているお店に気が付きました。とても気になりましたが、なんのお店かわからず、お邪魔することはありませんでしたが、偶然、飲食店で店主さんと同席し、石獅子(いしじし)の店舗兼工房であることがわかりましたので、お邪魔してきました。

石獅子の前にシーサーのお話から

シーサーのルーツはスフィンクスとも言われています。古代オリエント時代には王様の権威を示すためにライオンの像が王宮に設置されていました。それがシルクロードを通って世界各地に獅子文化として広まります。

日本には朝鮮から伝わり、神社の狛犬につながったと言われています。ちなみに狛犬は狛犬であって、犬ではないそうです。

沖縄には中国から獅子文化が伝わって500年くらい経っていて、その頃は王宮やごく一部の貴族の家にだけ獅子が設置されていました。

村落の入口にあるシーサーを村落獅子と言います。村落獅子の一番古いものは富盛村のものです。これは富盛村でたびたび火災があり困った村人が蔡王瑞(さいおんずい)という風水師にみせたところ「富盛村を見下ろす八重瀬岳がフィーザン(火山)だというので、その山にむけて獅子を設置したら火災は起こらなくなった」と記録に残っています。

これがだんだんと広まり、やがて各家庭の屋根や門柱の上に設置されたシーサーのルーツではないかと言われています。

沖縄=シーサーのイメージが強いのですが、沖縄全域にシーサーがあるわけではありません。沖縄は本島内でも地域によって文化や習慣が異なり、離島へ行くともっと異なります。

家の屋根や門柱に設置されたシーサーは陶器製や漆喰(しっくい)で作られたものが多いように思いますが、琉球石灰岩を手彫りしたシーサーを「石獅子(いしじし)」と言います。

スタジオde-jinは家族で作られていた!

店主さんは、沖縄生まれ、愛知育ちの方で、沖縄県立芸術大学大学院で彫刻を学ばれました。卒業後、石彫をされていましたが、ご友人を通じて石獅子のことを知り、石獅子を作るようになって10年が経つとのことです。

奥様は「村落獅子を調べること」を仕事にされていて、2人のお子さんと家族4人で沖縄に残る石獅子を探索して、丁寧に記録を残してらっしゃいます。

店主さんは、「沖縄の普通の人たちがおそらく、家族や集落の人のために願いを込めて作られた」というところに石獅子の魅力を感じられたと話していらっしゃいました。きっと、家族4人の探索があるからこその石獅子作りなのでしょう。

スタジオde-jinの石獅子たち

紺色ののれんをくぐって、くつを脱いであがった店内は、畳敷きです。壁に沿ってぐるっと石獅子が並んでいます。

石獅子

どれとして同じ顔のものはありませんが、どれもくすっと笑ってしまうようなかわいらしく、温かみのある表情をしています。どこか懐かしい気持ちになりました。

シーサーは対のものと思っていましたが、もともとは対の概念がなかったそうです。

なぜ、対になったのかは諸説あって、家族を守る象徴として、お父さんとお母さんを表現した。仏教の考えで阿吽(あうん)にした。男は寡黙、女はおしゃべりといった沖縄の男女を表したなどです。どの説が正しいと言う訳ではなく、地域ごと作者ごとに異なります。

シーサー

店主さんの「私たちも文化の流れの中にいる」と言う言葉が印象的です。

対と言う概念がなかったシーサーに沖縄の人の想いが加わり、沖縄独自の文化として愛されているので、今後は変わっていくかもしれないと話されていました。

屋根の上や門柱のシーサーは魔よけなので威圧感のある怖い顔をしていますが、石獅子は引き付けられて、ずっと見ていたくなる表情をしています。ほっこりした雰囲気はきっと店主さんのお人柄が現れているのでしょう。

どこかで見たような気がして、ようやく思い出しました。クラフトビールのお店の「浮島ブルーイング」に置いてあったのが、こちらの石獅子だったのです。いろいろと繋がるのも沖縄の魅力のひとつだと思います。お店にはシーサーではないものもあります。

石敢當
重箱料理

石敢當や重箱料理もありました。シーサーにとらわれ過ぎない自由な感じが素敵です。

スタジオde-jinの工房

特別に工房も見せていただきました。

工房

石獅子の材料はこちらの琉球石灰岩です。琉球石灰岩はサンゴ礁から出来た岩石で、比較的若い石で、たくさんの気孔があるのが特徴です。

首里城の石垣に使われているのを見たことがある方も多いでしょう。なんと、国会議事堂にも使われているのだそうです。

琉球石灰岩は本島中南部で多く産出され、地域によって石の性質や風合いが異なります。De-jinでは、勝連産の勝連トラバーチン、港川産の粟石、南部の琉球石灰岩を使っています。

工房

こちらの工房でひとつずつ手彫りで作っています。石を削るので、粉状になった石のかけらが出てしまいますが、石や道具がきちんと整理されていたので、店主さんの石獅子に対する愛情が感じられました。

店主さんは今でも村落に残る石獅子から先人たちの想いを受け止め、守り神である獅子をひとつずつ丁寧に生み出しているのだと思いました。

シーサーに関することは、諸説あって言い切れないものも多いのですが、店主さんの石獅子に注ぐ愛情は言い切って良いでしょう。あなたと相性の良い石獅子を探してみませんか。

  • 住所:那覇市首里汀良(てら)町1-2 1F
  • TEL:090-9787-7512
  • 営業時間:10:00~18:00
  • 定休日:日曜日、不定休

ABOUT THE AUTHOR

島人
東京出身で那覇に引っ越してきました。小学生の娘を育てている主婦です。食べるの大好き!特に甘いものが好きです。沖縄の美味しい食べ物を沢山紹介したいと思います。
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