私は甘いものが好きです。洋菓子も和菓子もどっちも大好きです。今日はパティシエ自らが「こだわりが強い」と言っている「パティスリー・ランヴォール」へ行ってきました。
パティスリー・ランヴォールのランヴォールって?
店名の「ランヴォール」はフランス語で「飛翔」「羽ばたく」転じて「自由」という意味です。
オーナーパティシエの福里さんは、沖縄の有名洋菓子店の家に生まれ育ちました。小さい頃から洋菓子への興味を持っていたので、製菓学校を卒業し、リゾートホテルで修業を積まれたそうです。ご実家の洋菓子とは異なる、フランス伝統の洋菓子が作りたいと2014年に「パティスリー・ランヴォール」をオープンさせました。
オーナーのこだわり
パティシエの福里さんは「沖縄ではこだわりのあるお店が多いけれど、自分はもっとこだわりが強いんです。」とおっしゃいます。福里さんのこだわりは随所にありますが、特に思い入れが強いのが「材料とオープンキッチン」と言えそうです。
ケーキを作る上でなくてはならない小麦粉はフランス産の小麦をフランスで製粉したものを使っています。旨味が全く異なるので、小麦粉の価格は高くても、フランス産にこだわっています。
チョコレートも香り豊かで男性的な味わいが特徴なものを使っています。沖縄ならではの沖縄の素材を使うこともありますが、手頃で人気のあるからという理由では”紅いも”や”シークヮーサー”を使うことはないそうです。
オープンキッチンはガラスなどの隔てが一切ない、入り口から丸見えのオープンキッチンです。
コックコートも着ないで、好きな服に白いエプロン姿の福里さんの手によってケーキが作られていく様子をすべて見ることができます。嘘やいつわりのないありのままの姿、製造過程を見てお客様に安心して欲しい気持ちとお客様の視点や対話も大事にしたいという気持ちの表れです。是非、福里さんに話しかけてみてください。こだわりは強いけれども、クセは強くない、ムダにこだわりが強いかもしれないけれど、ムダな力は入っていない、気さくな福里さんとゆんたく(おしゃべり)が出来ますよ。
パティスリー・ランヴォールの店内
ドアを開けてお店に入ると、正面にガラスのショーケースがあってケーキがきちんと並んでいます。フランスの伝統的なケーキを中心に、シュークリームやティラミス、マカロンもありますし、ケーキ屋さんなのにクロワッサンやバケットもあります。
ショーケースの向こう側はキッチンで、真ん中の作業台を取り囲むようにオーブンなどがあります。ショーケースの左の陰にカウンターがあって、イートインスペースになっています。壁には大きくロゴが書かれていると思ったら、お子さんが描いたと思われるおとうさんの似顔絵も貼ってありました。ほのぼのしますね(笑)
ケーキを注文して食べてみた
悩んで私が注文したのは以下の3品。
- タルト・クラフティー・スリーズ 300円
- サクッとコロネ 150円
- クロワッサン 150円
女性店員さんが手際よく袋に詰めてくださいます。すると、「こちら、クリスマスケーキのサンプルです。よかったらどうぞ。」とベイクドチーズケーキを1カットおまけしてくださいました。太っ腹ですね!さっそく無料サービスのコーヒーを注いで、カウンターでいただくことにしました。
タルト・クラフティー・スリーズはプリンにチェリーを加えて焼き上げたタルトです。ケーキに使われるチェリーって酸味が強すぎることもありますが、こちらは酸味が強くありません。なめらかなプリンとさくさくしたタルト生地がハーモニーを奏でています。やっぱりスイーツはハーモニーですね。マーガリンは使わずにバターを使うのがこだわりだそうですが、重くありません。きっとちょっとした混ぜ方でも風合いが変わってしまうのでしょうね。
サクッとコロネはその名の通り、サクッとしています。ちょうどよく冷えているのにサクサク感が損なわれていません。サクサクした生地は空気を含んでいて軽やかですが、ぼそぼそしません。このあたりの加減が腕の見せ所だと思います。なめらかなクリームがたっぷり詰まっています。表面はつやつやしていますが、ただのつやだしの卵黄ではなさそうです。口に入れた時に甘い香りがしましたし、パイ生地とクリームにもう一味プラスされているように思えたので、ジャムかもしれません。とてもおいしくて、子供からおばあちゃんまで誰もが好きになる味だと思います。
とても満足したので、クロワッサンとベイクドチーズケーキは家に持ち帰って食べることにしました。
クロワッサンはバターの香りが豊かです。きっとバターも厳選された素材なんでしょうね。軽やかなので、丁寧に生地を作って層にしてあることが伝わります。シンプルなパンだからこそ、お店によって違いがある事がよくわかりますね。
おまけで頂いたベイクドチーズケーキは、濃厚でしっとりとしていて、とてもおいしいので、娘と争うようにして食べました。もしかすると、チーズは1種類ではないのかもしれません。正統派のチーズケーキと言った感じですが、きっとパティシエは伝統を踏まえた上でひと工夫されているんだと思います。
パンの種類が増えました
パティスリー・ランヴォールは以前からパンもあるケーキ屋さんですが、パンの種類が増えたと聞いたので、ちょっと遠いですが頑張って、2019年10月に再訪しました。
ケーキのショーケースの上にパンがたくさん並んでいます。女性スタッフが2人に増えて、3人体制になったので増えたのかもしれませんね。
店員さんに3種類のパンを取ってもらい、持ち帰って家で食べることにしました。
ブリオッシュロール(80円・税込み)
小さくてかわいらしいブリオッシュロールです。他のお店のブリオッシュはバターが重いことが多いのですが、こちらはそんなことはありませんでした。マーガリンではなく、バターを使っているとのことなので、材料で軽くしているのではなく、技術で重くならないようにしているのでしょう。
ふわふわした食感とほんのりと甘いトッピング。おやつにぴったりな感じで、80円と安いので、子供がお小遣いを握りしめて買いに来る姿が目に浮かびました。
パン・オ・ショコラ(150円・税込み)
チョコレートをクロワッサン生地で包んであります。クロワッサン生地が素晴らしいですね。さくさくなのに、ぼそぼそしないんです。チョコレートも甘すぎるチョコレートではないです。ランチやおやつにこちらだけ食べても満足できるひと品になっています。
プチバケット(110円・税込み)
素材にこだわって作ってあるので、小麦粉の風味が十分に感じられるのに、粉っぽくありません。外はかりっと中がふんわりしているのがバケットの特徴で、その特徴をキープしつつ、やわらかめに作ってあります。
これはすごいです!ホンモノであって、なおかつ誰もが満足できる味だと思います。この2つって両立するのは難しいと思います。誰もが満足できる味を目指すと無難な味になってしまいがちなんです。
食パン(200円・税込み)
毎日食パンの焼き上がりは12:30頃。早くお店に到着してしまったので、食パンはショーケースの上に並んでいませんでした。
がっかりしているとレジの前に「昨日焼いた食パンです。半額です。」と書いてあるのを見つけました。もちろん、賞味期限内ですから、おいしく食べられます。それなのに半額で、200円のところを100円で販売って太っ腹ですね。
トーストして食べることにしました。とてもおいしいです。食パンはおかずと一緒に食べることが多いので、その点を考慮した味付けにしてあるんですって。確かにパンだけ食べてもおいしいし、おかずと一緒でも主張し過ぎない味です。焼きたてをそのまま食べたら、また味が違うのかな。サンドイッチにしてもおいしそうで、妄想が広がります。
小ぶりな食パンですが、とてもおいしかったので、パティスリー・ランヴォールの近くに住んでいる方が羨ましいです。
オーナーさんは職人は表現者であると言っています。確かにケーキはひとつひとつが世界観を持っていますね。
パンはパンだけで食べることも、おかずなどと組み合わせて食べることもあります。求められるものが全然違うし、似たような材料を使っていても技術は異なるでしょう。またパンは日常的なものなので、購入しやすい価格を設定してあります。
きっとオーナーは食べる方がどのように食べるかだけでなく、どのような気持ちで食べるかを考えたうえで、素材のおいしさを引き出し、自分の想いを込めるーって、とてつもなく難しいことをさらっとやっているのだと思います。あんまり”俺”が前面に出てしまうと、独りよがりになってしまいますから、我が子のように大事に生み出すけれども、我が子がひとりで羽ばたけるようなお膳立てにとどめて、お客様に喜んでもらえることを大切にする姿勢を貫いているのだと思います。
だから、オーナーにしか作れない味なんだと思います。ホンモノだけど、敷居は高くない、人々の日常に寄り添うケーキとパンを是非味わってください。
パティスリー・ランヴォールの基本情報
識名園と南部医療センターの中間くらい、真和志高校の近くにあります。お店の前に車が3台停められます。まわりにお店はないし、ついでに立ち寄るという立地ではないのですが、私がお店にいた20分くらいの間に次々とお客様が来られました。ケーキは300円からとちょっと高めですが、厳選された素材を使っているからです。金額に見合ったおいしさだと思いますよ!
- 住所:那覇市真地(まあじ)205 フェリーチェみのり101
- 営業時間:10:00~19:30
- 定休日:年中無休(臨時休業はあるかもしれません)